コーヒーゼリーとブラックコーヒー

コーヒーが好きでコーヒーゼリーも好きだ。

そのどちらも明確に好きになった時のことを覚えている。

コーヒーゼリーは9歳くらいの頃だった。一緒に住んでいない方の祖母、つまり母方の祖母は、たまに私を買い物に連れて行ってくれた。とはいっても田舎なので本当にただの買い物、スーパーへの食品の買い出しだ。私の両親は美容師をやっていて、土日家にいることはなく、私は親と遊びに行くということが日常的には不可能な子供だった。

そんな私を不憫に思ってか、母方の祖母はたまに私をそうして買い物に連れて行ってくれた。一緒に住んでいたはずの(そして今も一緒に住んでいる)父方の祖母と遊んでもらった記憶はない。

祖母は買い物に行くとたいてい私にお菓子を買ってくれた。

でも確か、私がコーヒーゼリーを始めて食べたのは、私がそれを選んだからではなかったはずだ。みっつでひとパックになったコーヒーゼリー、あのうちのひとつを祖母は私にひとつくれた。

スーパーの駐車場で、小さな軽自動車の運転席と助手席で私と祖母はそれを食べた。祖母はせっかちなのかなんなのか、缶コーヒーを買ってもその場で飲みほし、自販機の隣のゴミ箱に空き缶をすぐ捨てる人だ。アイスも「溶けるから」と買ってすぐに車の中で食べだす人だった。

食べ物とは、食卓について食べるものだった私にとって、車の中で別添えのコーヒーフレッシュをこぼさないように開けて慎重に食べるコーヒーゼリーは特別だった。缶コーヒーは苦かったけれど、コーヒーゼリーはどういうわけか甘かったし、美味しかった。

 

さて、父方の祖母のいる実家では、子供がコーヒーを飲むことは禁止だった。大学生になって家を出るまで、コーヒー(砂糖・牛乳入りのほとんどコーヒー牛乳)を飲んでいるとあまりいい顔をされなかった。いわく、コーヒーを飲むと脳が溶けるらしい。コーヒー好きで、コーヒーを作ることを他人に強要することが大好きな父方の祖母の脳は、確かにずっと溶けている。

コーヒーは苦い。苦いけれど、好きな人は多い。なんならブラックで飲んでいる人もいるくらいだ。それに、あの美味しいコーヒーゼリーの素になっているのだから、コーヒーも美味しいんだろう。

なんとなくそう思っていた大学一年生の頃、友達に「コーヒーが美味しい店を見つけた」と言われた。私はコーヒーゼリーが好きだし、コーヒーのことも好きになりたかったけれど、なによりその友達のことが好きだった。

案内されたのは静岡駅前の繁華街、そのうちのどれかの店で、名前も覚えていない。

ご飯を食べて、食後にブラックコーヒーをお願いした。

出てきたのはすっと縦長のグラスに黒いストロー。ブラックコーヒーなのだから、特にビジュアルに変哲はない。

ただ、飲んでみて、苦くない、と思った。

薄かったのかもしれない。

酸味があって、爽やかで、果物のような甘みがあるようだった。

「美味しいやろ?」

たまたま私と一緒の高校で、たまたま同じ静岡の大学に進学した彼女はそう言ってにっこり笑った。彼女にはきちんとイエスともノーとも言うことができる。

私は「美味しい」と言った。本当に美味しかった。祖母に隠れて作り、飲んだインスタントコーヒーよりよほど。

 

マッチングアプリOmiaiをやっていました

マッチングアプリのOmiaiを4月5日からやり始め、6月16日に退会しました。

マッチングアプリの体験記ってあまり見なかったので(私自身、始める前に警戒心からめちゃくちゃ探しました)興味ある人いるかなという気持ちと、勉強になったなぁという忘備録で書いています。

パートナーができて退会したわけではないので、マッチング成立した相手への多少サゲが入ると思います。もちろんただの主観です。いち個人の体験と感想と思って、好きなように読んでください。身バレ防止にフェイクが入ってます。オタクです。

 

 

始めた経緯

 友達に「私これで今の彼氏できた!興味あるの?やりなよ!」と詰め寄られ、目の前で入会の一部始終を見守ってもらえたため。もともと興味がありながらもビビりなため、詐欺られたらどうしようと思い、入会には至っていなかった。

 あと単純にもうずっとパートナーもいないし、いい加減ただ楽しく異性と話したい、と思い入会。

 

期限付き

 だらだら入会し続けてもメンバーの入れ替わりがない(田舎なため)、スタートダッシュが肝心(新規会員はピックアップされやすいらしい)、普通にダレるので、1~3カ月の期間でやろうと決める。ピクシブとかの閲覧数も初動が肝心ですよね。

 

マッチング

 まずマッチング制度の説明。Omiaiの場合、女性は気になった男性に好きなだけ「ステキ!」を送れる。男性は確か回数制限付き。お互いに「ステキ!」がつくとマッチングが成立し、メッセージを送り合えるようになる。ツイッターの鍵アカ同士が相互フォロワーになった感じ

ここからメッセージの送り合いが始まる。プロフにある程度の趣味や自己紹介文が乗っているので、それに関しての質問など、まさに新規フォロワーとの腹の探り合いという感じ。

ただ、相手の普段の様子・嗜好・地雷が知れるツイッターとは違い、相手とのやりとりでしか相手のことを知れないので、この会話が難しい。まるで現実みたい。現実です。

スクショをちゃんととっておかなかったので、詳しいことは忘れましたが、自分がマッチングした相手は確か10人ほど。その中で会話がまともに数日続いたのは3人、実際に会ったのは2人。3人に具体的なエピソードをよせるとして、残り7人に関しての説明はざっくりやります。

 

マッチングしたけど

 マッチング成立後、会話がろくに続かなかったパターン。

 ・プロフ写真がイケメンのマジシャンの男

「いつ頃からマジックやってるんですか?」「6歳くらいからです」くらいで会話が続かなかった。ちなみに相手の「ステキ!」数が見れるんですが、マッチングした相手の中ではこの人がダントツで「ステキ!」が多かった。

・看護師の男

 「ゴールデンウィークの予定とかありますか?」「いや特にないですね」くらいで会話終了。相手の勤務時間がおそらく不規則なため、返信に時差あり。

 

 その他、そもそも会話が発生しなかったパターン

 ・これがほとんど。ダメです。でも、2、3人と同時並行でメッセージをやりとりしていると、それだけでけっこういっぱいいっぱいになって、メッセージを送らないままになってしまうパターンがありました。相手も同じなのか、それとも「ステキ!」数を増やしたかったのか。「ステキ!」数が増えると閲覧数が増える、みたいな仕組みらしいです。

 

はじめてのマッチングアプリということもあって、基本的にマッチング後すぐ自分からメッセージを送るスタンスの活動ではなかったので、メッセージを送らないまま虚無のマッチング成立後を迎える、ということが頻発しました。あと、「ステキ!」も積極的に自分から押さなかったので、なんとなくマッチング成立した人とは、やっぱり会話が成立しませんでした。

当然のことですが、「メッセージを送り合う時間帯が合う」「相手(のプロフ)に興味を持つ」「相手の文章が崩壊していない」とメッセージのやりとりは難しいです。

 

 

番外編1

 同じ職場の人とうっかりマッチングしました。

Omiaiでは相手の職種が見れるのですが(書いてあれば)、同じ県内在住、やや特殊な業種なため、うっかりろくに相手の職種を見ずにマッチング後、もしかして……と職場の社員録のようなものを見て、やはり同じ職場なのを確認。ブロックしました。OmiaiはFacebookと連携しているので、友達とはマッチングしないようになっているんですが、Facebookで友達になっていないと、普通にこういう事故が起きます。

同じ職場なだけならブロックしなくてもいいとも思うんですが、マッチング後のメッセージのやり取りがアレだったで。この人ともメッセージのやりとりは何往復かしたのですが、ちょっとヒヤッとしたので番外編ということで。

 

 

メッセージのやりとりがつづいたAさん

 マッチングアプリはスタートダッシュが肝心と書きましたが、メッセージのやり取りが続いて、ラインを交換したり会ったりするまでの関係になるのは、やっぱり初めて1、2日目にマッチング成立した相手とでした。ここから、会話が続いた上記3人とのエピソード掘り下げです。多少フェイクはいれますが、それぞれちょっとずつ長いです。

基本的にOmiaiは近隣の県の人をピックアップしてくる感じなのですが、Aさんは近隣と言っても車でも電車でも片道三時間くらいかかる隣県に住んでいました。

メッセージの内容は、ほとんどあるアプリゲームの話。彼が勧めてきたので、私もインストールしてフレンドになりました。そのゲームの話をしたり、趣味の話などをしているうちに、向こうから「会いませんか?」という内容のメッセージが届く。確か4月の中旬くらい。

ただ、4月は他のマッチングした人(後述:Cさん)と会う予定があったり、遊び(オタク活動:ライブ・観劇)で予定が埋まっていたりしたため、ゴールデンウィーク明けにでも会いますか、という流れに。その後もメッセージはちょこちょこしていたものの、会話が尽きはじめる。

5月に入ったので「予定どうですか?~日とかなら空いてます」というメッセージを送るも、既読スルー。Omiaiにはラインみたいに既読、未読機能があります。

そのうちに5月も終わり、私がアプリ退会するまで向こうからアクションは一切ありませんでした。いわゆるドタキャン。

やっぱり実際会うとなると、物理的な距離は大きいよなぁ、という所感です。

 

 

実際に会ったBさん

 同じ県内に住む人でした。

メッセージの絵文字が激しいのでテンション高そうなイメージでした。ただ、私がわりとマイナーな趣味を持っているのに対し、彼もそれに合わせて話をしてくれる感じで好印象。

他の人とのやりとりで疲れて、彼とのやり取りを一週間くらい放置してから「すみません、仕事が忙しくて返事ができませんでした」とメッセージを再開しても「ぜんぜんいいですよ!」というナイスガイ。会いませんか?という流れになり、ごはんでも良かったのですが、ちょうどお互いに見たい舞台があったので、オタク用語で言うと遠征することに。

このあたりの段取りで「ん?」と思うことがありました。気を効かせすぎなのか、こちらの反応を窺わないのか、チケット取りがワンマンプレー気味等。

いざ実際に会ってみました。アイコンの写真とまったく同じ(服も)でややウケ。メッセージのやり取り上では、わりとこちらに合わせてくれる感じのトークだったのですが、会ってみるとスポーツ観戦と私の知らないアーティストのライブの話メイン。行ったことない!?行ったほうがいいですよ!の台詞を12回くらい聞いた。

お茶して、舞台を見て、お昼ご飯を食べて、駅併設の美術展を見て帰ることに。

決定的にウーンと思ったのは、私が好きなアーティスト、仮に嵐としましょう。彼も嵐のライブに行ったことがあり、グッズのブレスレットを自分と友達用にふたつ買ったそうです。彼が買ったタイミングでブレスレットは売り切れ。物販出口で「ひとつ譲ってくれませんか?」と聞いてくる人がいたので、彼は「いくらで?」と聞き返したそうです。その時点で私は「?」ですが、彼は得意げに「その人、定価でって言うんですよ。俺、一時間並んだのに定価は無いでしょ」と。たぶん私の顔ひきつってたと思います。だって、そんな場面で言う台詞って「分かりました。定価で譲ります」か「友達の分なので譲れません」じゃないですか?赤の他人に並んだ分の手間賃を要求するって、それもう転売ヤーと同じですよ(何度も言いますが、すべて一個人の感情です)。

このほかにも、先述のチケット等の件にしろ、なんとなーくお金周りの価値観がヤバい感じ

この日は楽しく遊び楽しく分かれましたが、特に個人ラインなどは交換せず、帰宅後に愛想として「今日はありがとうございました」という趣旨のメッセージを送るも、既読スルー。相手も私に対して思うところがあったんだと思います

 

 

・実際に会ったCさん

 この人も同じ県内に住む人。唯一複数回遊んで、ラインも交換して、次また機会があれば会いましょう、という話になっています。

 いちばん最初にアプリ内でメッセージを交換した相手です。初回、私の住んでいるところまで来てくれて、お昼を食べ、ドライブ、お茶という流れに。初めて会う相手の車に乗るのはヤバいかなと思ったんですが、特に危ないこともなく。ドアを開けて先に入れてくれる、次あそこ行こう、ここ行こうという判断が早く、気が利く人だなという第一印象。初日遊んだ際は特に妙に感じるところもなく、ただ、唐突に「鼻きれいですね」と言われたのはギョッとした。人間、そんなに知らない人に見た目を指摘されるとギョッとするという発見

 二度目に会った時は、動物園に行って映画を観ました。初めて会った時はかなり好印象のまま別れたんですが、このときは彼がもう私に慣れたのか、わりと素が出てたなという印象。映画がすごく良かったので私が良かった!と言っていると「想像してたよりかは良かった」との堂々たる発言。あと、私もガバガバすぎる会話をしてたのか、めちゃくちゃ上から目線で突っ込んでくる発言が目立った。いや……普通に失礼……会って二度目でそれは……。初回会った時は普通に相槌打ってくれていた気がしたのでびっくりしました。

会話が終始そんな感じだったので、後半慣れてきましたが、帰ってどっと疲れました。あんたは面倒な上司か。

今もラインは続いているので、向こうは特に何も思ってない様子。

 

 

番外編2

 私がアプリを退会するきっかけになった人物。おそらく業者

 「明日でアプリの期限が切れるので(男性は有料。月額制)ライン交換しませんか?」とメッセージの3往復目くらいで言ってくる。アイコンもメッセージも不信感は無かったので、まあいいか、と交換。ライン一発目の会話が、アプリでしていた会話と噛み合わず、業者か?という疑惑が沸く。あと、ラインのアイコンが初期の人影みたいなやつで明らかにサブアカウント

そして、アプリの期限が切れると言っていた当日、アイコンだけ変えてそのままアプリを継続していることが判明。いいタイミングだったので、Omiaiを退会しました。

 

 

総括

 本当に手軽に出会える。メッセージのやり取りも楽しい。ただし、本人に元気があれば

 今回マッチングアプリをやって勉強になったなと思ったことは、

・アイコンとプロフィールのみの情報で、メッセージのやり取りをするかどうか決めることになるので、人は見た目が9割状態になる

ウケ狙いなのか返しにエッジが効きすぎてる人間と会話するのが、自分は辛い

自分の話ばかりしてはいけない

会話を盛り上げようとしてくれてるのかもしれないけど、やたらツッコミたがる人間、しんどい

 

価値観の合わない人とは友達未満くらいの距離で居られる。けれど、すでに「マッチングアプリ」という、付き合うか付き合わないかという前提で出会っていて、上記のような気持ちになると、私はかなりしんどかったです

現実で出会っていれば、そもそも上記の人たちとは仲良くならない、もしくはうまく距離を取って付き合えるんでしょうけど、マッチングアプリだとむずかしいです、会ってみないとそのあたりのニュアンスが分からないので…。

実際顔を合わせて話してみないと他人のことは分からない。心身ともに危険を感じない程度にトライアンドエラー、という当たり前の結論に至りました。

私はマッチングアプリをやってみて、(私が失踪したらマッチングアプリのせいだなと分かるように)友達ともほとんどしなかった恋愛がらみの話をするようになったので、人の話を諸々聞くことができて、それもかなり「学び……」でした。

 

2019.06.17

HIROOMI TOSAKAソロツアー FULL MOON

FULL MOONがものすごく良かった振り返り日記。

 

登坂広臣のことを知ったのはここ一年ほどで、去年2017年の11月頃。確か彼のソロ名義で初めて聞いた曲がLUXE。この曲が凄くて、他を寄せ付けず、他者の評価を受け入れず、誰に何と言われようと突き進む曲で、これが発表された時に私はショックを受けた記憶がある。彼の苦しみの一片を知ってしまった気がした。

それで、なんとなくソロツアーの内容もメッセージ性の強いものだと思っていた。登坂広臣がキツくてとっつきにくい人ではなく、むしろめちゃくちゃ可愛げがあって熱い男だということは分かっていたのだが、LUXEで見た彼の葛藤と拒絶と修羅の姿がどこかに残っていた。

 

ところが、ライブはというとものすごくハッピーでエンタメ性が高く、登坂広臣のユーモアと温かさと格好良さが全開で、なによりファンが見たいと思っているであろうものを彼の側できちんと汲み取って、さらにその予想を超える形で提示してきた。例えばスクリーンに映し出される巨大な月だとか、それを背景に現れる登坂広臣だとか、玉座に座って歌う登坂広臣だとか、女性ダンサーと踊る登坂広臣だとか、ムービーのアクションだとか、ゆるくて熱いMCだとか。

特にEND of LINEで彼の考える「終わり」とその先にあるものへの考え方に触れられたのが良かった。これを歌う前に必ず長い長いMCが入る。毎回微妙に言っていることは違った。三代目である種の成功をおさめる事は出来たが、ファン(他者?)との距離を感じてしまうようになった。次に自分たちは何をすればいいんだろう。寂しく感じる。自分は災害を防ぐ事は出来ないし、世界を救うことも出来ない。だからせめて、ここに来てくれた人たちだけは少しでも幸せになって欲しい。生きていれば必ず終わりが来る。その日が明日来ても良いように悔いのないように生きていきたい。

何十回とこなしてきたMCのはずだが、毎回言葉を選んで長い時間かけて自分の思いを話し、それでも少し納得いかないというように話を切り上げて歌い始める。

 

登坂広臣みたいな誰もが憧れる綺麗な顔で歌が上手くて人気があって、そういう人でもいつか来る「終わり」を考える。このツアーの終わり、このアルバム制作の終わり、この撮影の終わり、そして誰かとの永い別れ。彼はその終わりが来るたびに哀しみ、寂しさを覚え、「終わり」について考えてきたのだろう。いずれ迎える終わりは、それが必ず来るのであるならば、明日でも変わりがない。だから悔いのないように生きるし、自分と関わりを持った人には少しでも幸せになって欲しい。

アンコールの最後に歌うのはHEART of GOLDで、この曲に関してははっきりと彼の口から「僕からみなさんへ向けたメッセージです」と告げられる。すごくハッピーな曲調で「生きてると苦しいこともある。でも乗り越えられるよね?俺は乗り越えられる」という堂々とした宣言の曲だ。オーラスでは「一緒に最高の人生を歩んでいきましょう!」なんて言葉でMCを締めくくり、ライブツアーの終わりを迎えた。

頑張っていかないとな、と思う。葛藤を抱きながらも、登坂広臣は「終わり」を静かに見据えて生きている。さらには自分の人生だけじゃなく、私達ファンの人生まで祝福せんがために歌うと言ってくれる。いつか訪れる彼の終わりも、彼の過ごす時間も、彼の理想に近いものであれば良いと願った。

今市隆二さんのソロツアーに行った

以下、セトリバレはありませんが演出の濃厚なネタバレがあります。

 

RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2018『LIGHT > DARKNESS』福井公演2日目に行って来ました。

三代目JSBツインボーカルのひとり、今市隆二さんのソロライブです。いま同時進行でもう一人のボーカル登坂広臣さんのソロツアーも開催されています。

ツアーにはコンセプトがあって、今市さんのはこう。

 

どんなに深い闇であったとしても、

強い意志があれば光は見つかる。

LIGHT>DARKNESS

想いがあるから、光はさらに輝く。

世界の才能たちとの出会いから生まれた

答えがここにある。

 

詩的なようでストレート。三代目のツインボーカルは対照的な二人とされていて、今市さんが光と闇、登坂さんは月をテーマにしたツアーを開催している。

今市さんについて詳しい方はたくさんいらっしゃると思うので説明を省き、最近三代目を知った私のふんわりした印象からいくと、ゴリゴリの見た目とはうらはらに繊細な一面を持った人という感じでした。

三代目のライブを見ていてもMCがとても優しい。かわいいと言っても差し支えないくらい、優しい笑顔とやわらかい口調の持ち主だ。そんな彼からまず「光と闇」というテーマが出てきたことに驚いた。どちらかというと「太陽とビーチ」「焼肉と白米」みたいな人だと思っていた。

「光と闇」。二項対立にエモを見出す私(性根がオタク)としては、彼がこの二つをどう解釈し、LIGHT>DARKNESS、光の勝利を導くのかが気になった。

以下、セトリバレはありませんが演出のネタバレがあります。

 

 

ライブはすごく楽しかった。今市さんの持つ品の良さというか、ゴージャスさというか、そういうものが常にステージから振りまかれていたように思う。ファビュラスという形容詞が頭の中に浮かんでは消えた。ファビュラスってこういうことを言うんだ……。

今市さんが素肌の上にシルクっぽいシャツを羽織って出て来るところがあって、私の隣のギャルたちが「ねえ透けてる!ねえ!透けてる!」と混乱した叫び声を上げていたのを覚えている。透けてた。透ける背筋がめちゃくちゃセクシーだった。羽織ってるだけなので胸とか腹は素肌なんだけど、むしろ透けてる背中の方がセクシーだった。チラリズムってこういうことを言うんだ……。

今市さんのMCはやさしいと述べたが、今回はやさしいを通り越して天使だった。『Angel』という楽曲があるのだが、ほんとうに天使。「いくよぉ!」という煽りとともに走り出し歌い出す今市さん。「いくよぉ!」だって、へへ、といまだにニヤニヤしてしまうほど、可愛い言い方だった。

「いくよぉ!」もヤバかったのだけど、ほかにも観客との絡みと言うか、コール&レスポンスが独特で、これはひとえに今市さんの天然ぶりと、あとはこれまでずっと三代目で登坂さんと二人でMCをやってきた(そもそも三代目ライブはMCの入る隙があまりない)せいもあると思う。

「楽しんでますか!」と聞いておいて「いっぺんに返事されてもわからないよお」とへらへら笑ったり、かと思えば観客と一生懸命対話しようとしてMCに妙な間が空いたり、観客の盛り上がりに対して「昨日のほうがよかったなあ」「良いのか悪いのか分かんないなあ」とぼやいてみせたり、サイン入りフリスビーが当たった観客に対して「フリスビーw良かったねw」と半笑いで対応してみせたりと、いい意味で自由でリラックスしていた。王様のような振る舞い。我々は間違いなくあなたがこのステージで王様だよ、と彼をみあげるばかり。

 

終始こんな感じで可愛さ、格好良さ、綺麗さ、美しさでステージを沸かせるかと思いきや、グッと観客を惹きこむ演出が核にあり、今市隆二という人間の複雑さを垣間見た。それが、冒頭で触れたLIGHT>DARKNESSの部分である。

まず、ライブの最初から、楽曲も演出もLIGHTのものだった。これは後になってからはっきりと対比に気がつくのだが、白い衣装に明るい照明、透き通るような今市さんの歌声。踊っている間もサポートダンサーやバンドの方々ととても仲良し。今市さんのダンス、キレキレでした。踊り込んでるからか、MVよりもさらにキレキレ。

特に凄かったのは中盤以降のDARKNESS部分。

唐突に会場が暗くなり、モニターに映し出されるおどろおどろしい光景と、黒いマントとフード姿の男。驚くことにその男は今市さんなのである。あの、光の塊のような人が、闇そのものの姿で立っている。いつの間にかステージの上にはモニターで見たいくつもの黒いマントの人影がいて、その中央に立つ人物が今市さんの声で歌い出す。

ビジュアルにも凄味があった。まったく露出のない黒いマントにフード、胸にはとんでもなく大きな十字架のネックレス。

私はどちらかというと芝居脳なので、「今市さん、さっきまで光だったのに今度は闇に扮するのか。一人二役すごいな」としか思っていなかった。同時に、「LIGHT>DARKNESSだから、このあと光が闇を倒しに来るんだろうな。一人二役だけどどうするんだろう?映像を使うのかな?」と思っていた。

こうやって私が物語調で考えたのは、三代目のライブがメトロポリス、アンノウンメトロポリスと、かなり物語性の強い演出だったからだ。ここまではっきりと光と闇が描かれたのだから、LIGHT>DARKNESSのテーマに則って光が闇を倒すのだと思っていた。

 

ところが、今市さんのLIGHT>DARKNESSの解釈は、そんな単純なものではなかった。

DARKNESSパートの最後に悲鳴が起きた。私も思わず悲鳴を上げた。

どことも知れない真っ赤な背景を背に、DARKNESSの今市さんは両手を広げ、背中から崖下に飛び降りるのだ。視界からフッと消える今市さんの体。こう言うと今市さんを大切に思う人たちを傷つけるかもしれないが、あれは完全に自死のシーンだった。もしくは生贄だった。私も予想以上にショックを受けた。

考えてみれば、DARKNESSパートの今市さんはずっと苦しそうだった。DARKNESSは生まれた瞬間からとても苦しそうに歌い踊る。今市さんにとって闇とは、産まれること自体が矛盾で葛藤を孕み、いずれ光に追放されることを避けられない存在だということ。いや、闇は今市隆二の姿をしていたので、闇の彼が光の彼に耐えられず、自分を殺したのかもしれない。あの今市さんは、普遍的な世界中の闇を一身に背負って消えたいわば巫女的な存在なのか。それとも、彼自身の心の闇を表すのか、どっちなんだろうか。

今市さんの消えたステージを茫然と眺め、そんなことをぐるぐる考えた。パッと消えてしまったDARKNESSの今市さんの姿ばかり目に浮かぶ。

とにかく、闇は光に打倒されるのではなく、自ら消滅を選んだのだ。考えてみれば、今市さんらしい、あまりにまぶしい選択だ。まぶしすぎて惨いような気もするが、やっぱりまぶしい。

 

そんな激ヤバ演出を終えた後も、今市さんはけろっとした顔でステージに再び現れ、ライブの続きをやっていく。

なんだか夢をいくつも見ている気持ちになった。

ライブを終えて二週間ほどが経ち、何度考えても今市隆二という人間の計り知れなさにぼうっとする。

これまで今市隆二の中にも闇は生まれ、きっとその度に彼はそれを殺してきたのだろう。人知れず幾度も幾度も。三代目のボーカルとして、そして、彼の歌手としての人生の中で、これまでもそしてこれからも繰り返されていく長い長い孤独な戦いだ。

LIGHT>DARKNESSとツアータイトルに打ち出しているように、彼の中ではもう既に勝敗はついていて、何度闇が生まれても、それは間もなく消える物なのだろう。

だが、それで彼の心が摩耗しないはずがない。あんなにやさしく笑う人なのだ。

彼の長い戦いの道程に、相方である登坂広臣や三代目のパフォーマーの五人の姿が、これからもかぎりなく長く共にあれば良いと願っている。

choo choo trainに乗せられて我々はどこへ向かうのか

choo choo trainを題に入れようとしたわりには綴りが分からず、まず検索するところから始まった。

日本の音楽シーンにも無知、英語にも無知、いまのところこれから綴ろうと思っているLDHについても無知。そんな私がざっくり言うとこのタイミングでEXILE一族にはまった。このタイミング、というのが重要になってくるが、そこは順を追って説明したい。

 

LDHについて軽く説明をしようと思ったが省くことにする。私はHiGH&LOWを見るまで岩田剛典さんのことも知らなかったが、どうやら世間の人たちは老いも若きもEXILEはもちろん三代目JSBについてもLDHについても、ある程度知っているようです。

まず何から書こうか迷っている。

来月の9月15日にEXILEが三年(二年半?)の休止期間を終えて再始動する。どう考えても、なぜ私がEXILEの復活を心待ちにしているのか分からない。

多少個人的な事情の説明をさせてもらう。ふーんこんな奴がEXILE一族に……という気持ちで流してもらいたいが、一応このブログを書くに至った「私はEXILEに連れられていまどこへ向かっているのだろうか」というぐちゃぐちゃした気持ちが、それなりに簡潔にまとめられていると思うので読んで欲しい。

 

EXILE一族にはまったのはかなり誤算だった。

私はこれまで音楽にもダンスにも、ステージの上でキラキラ輝くアイドルや、定期的に大流行りするダークなヤンキー・ヤクザ物語にもほとんど興味はなかった。EXILEが日本のエンタメ業界でどういった立ち位置なのかよく分かっていないが、少々ヤンチャなアイドル、というところなのではないでしょうか。メンバーの色白比率も上がっていて、アイドルっぽさはさらに増している。

ところで、私は二十代半ばであり、前述した話とやや矛盾するが、実はEXILE一章、二章まではわりとEXILEが好きだった。タカヒロさんのボーカルバトルオーディションのあたりの記憶はわりと鮮明だし、オカザイルは腹を抱えて笑いながら見た記憶がある。中学時代から変えてない携帯のメールアドレスには、数年前に勇退されたUSAさんの名前を入れている。もうほとんど前世の記憶と言ってもいいが、私自身、小学校の六年間はダンスを習っていた。前世の記憶なので曖昧だが、ヒップホップだったと思う。ダンスブームだったのだ。

それなりに熱心なEXILE、というかダンス好き小中学生だったと思うのだが、それ以降二十代半ばの今にいたるまでEXILEのことは追っていなかった。EXILEがどうこうというわけではなくて、それなりに勉強と部活で必死だったのだが、丁度その頃EXILEはいわゆる「人数がめちゃくちゃ増えた」今の体制に近くなっていた。オリジナルメンバーに二代目JSBが加入した状態である。このあたりの人数の入れ替わりは、就職試験の数的処理問題か?というくらい複雑だ。メンバーがたくさんいて、新たにファンになりづらいなという状況。そういうわけで、私も今まで、つまり昨年2017年の10月までEXILEのことを意識せずに生きていた。

 

さて、EXILEのことをすっかり忘れていた私が、ある時、ツイッターである映画の予告動画を見る。『HiGH&LOW THE FINAL MISSION』の予告だ。金髪の少年がコンクリートを口に流し込まれているショッキングな映像だ。

アクションメインの洋画が好きで、邦画ではあまり過激な画を見たことがなかった私はその映像に「何だこれは?」と思い、知人にハマるなら今だよ!とすすめられ、ノコノコと『HiGH&LOW END of SKY』を近所の映画館に見に行った。FINAL MISSIONの前作であり、全国ではとっくに公開が終わっていたのだが、幸運なことに田舎なので二カ月遅れでまだ公開していたわけだ。見ました。凄いものを見たなと思った。

HiGH&LOWについてはまた別で語るとしてさっくり話を進めます。

 

ここから私のLDH周辺への進出具合は知人も友人も呆れるほどで、一週間でHiGH&LOWドラマ2シーズンとそれまでの映画シリーズを見終わり、ムゲン(作中のバイクチーム)の女になったことで、演者であるアキラさんと青柳さんにもハマった。

劇団EXILEの役者であり歌手である青柳さんの新曲リリースイベントに参加するために兵庫に行き、横浜でアキラさんの所属するEXILE THE SECONDのライブに参加し、東京のハイローカフェに行き、LDHのファンクラブに入り、三代目のライブのライブビューイングに行った。今思えばちゃんと日記でもつけておけば良かったなと思う。ほかにもこまごまと色々イベントがあったはずなのですが、あまり思い出せない。そういったわけもあって今ブログを書いているのですが……。

 

これまでの生活で、何か趣味のことを追ってこれほどまでに忙しく動いたことは無かったように思う。

そうしてふと気づいたことは、EXILEは私の知らないうちに活動を休止しているらしい、ということだった。

 

ハイローのなかでもお気に入りのキャラクター、琥珀さんを演じるアキラさんの所属するEXILE。そしてEXILEが活動を休止している間、EXILEの名を背負って活動しているEXILE THE SECOND。

少しだけ補足すると、ここまでこの記事を読んでくださっている方には周知の事実ですが、SECONDとは六人のボーカル&パフォーマーグループで、全員がEXILEに所属している。

リアルタイムでSECONDの活動を見られたのは本当に幸運だったと思う。SECONDについてもまた別のブログで触れようと思うのでさらっと流しますが、私はSECONDのライブに横浜、幕張と都合3回参加してみて、「こんなに楽しくて優しいライブは初めてだ」と思った。

 

前述したように、かつて私がEXILEに触れていたのは子供の頃なので、ライブを生で見る機会も金銭的自由なかった。今ほどライブ生中継や後日テレビで放映などのシステムも整っていなかったように思う。

EXILEのライブと言うと、彼らの風貌からもオラオラ系というか「行くぞテメエら!(CV岩田剛典)」なMCだと思っていたのだが、その予想とは真逆に、SECONDのMCは「みなさんいっしょに!」「楽しんでくれてますか?」なのである。この表現は不適切かもしれないが、ほとんどおかあさんといっしょ地方ステージ。ものすごくやわらかい。

EXILEもSECONDも楽曲は多岐にわたり、私は音楽のジャンルもいまだにまったく分からないのだが、いわゆるそれっぽいオラオラしたやつから、穏やかなものまでいろいろある。なんだこの曖昧な説明は。

SECONDのライブはとにかく丁寧である。いつ観客が歌えばいいのか、踊ればいいのか、歌詞はどこか、振りはどうなのか、きっちり示してくれる。とても丁寧。

 

SECONDのメンバーがどうやらEXILEのメンバーだと気がついて、私は過去のEXILEのライブを見始めた。そうつまり、なんかEXILEの人数増えたなー、の増えたにあたる人たちがSECONDのメンバーであり、三代目JSBのリーダーの直人さん直己さんである。

なんせ十年分くらいのEXILEに関する情報がすっぽり抜けていたので、私は過去のライブ映像を慌てていくつか見た。ライブ演出が丁寧なのはSECONDだけじゃなくてどうやらEXILEもらしい。当然だ、SECONDの親グループ(という表現は正しいのか)なのだから。

どちらのグループも(そして広げれば三代目も)、共通して私が感じたのは「こんなに楽しくて優しいライブは初めてだ」「いっしんに人の愛や未来への夢や今ここにいることの幸福を語るライブ、エンタメは初めてだ」ということである。このあたりになると普通の友達は「ヤバい……」と半笑いで逃げていくのでがっつり羽交い絞めにしたい。この辺りの話もまた別で語るとして先に行く。

 

 

さて、ここまでの流れをまとめる。

  1. ハイローを見る
  2. SECONDを知る
  3. あんなに人数が多いと思っていたEXILEの顔と名前が一致する

である。

ハイローはめちゃくちゃ面白いキャラもの物語である。そして、SECONDのメンバーも、EXILEのメンバーも半数以上がハイローに出ている。物覚えのあまりよくない私でも、さすがにSECONDとEXILEのメンバーは覚えてしまった。

 

この間、約半年。同時期に、約半年にわたって行われたEXILE THE SECONDのツアーROUTE6.6のファイナルの日がやってきた。個人的な話になるが、この辺りで私はいちばん正気を失っていて、5月23、24日は幕張でSECONDのライブ、25日開けて26日は青柳さんの写真集のお渡し会と、たしか4日間東京にいた。あまり覚えていない。

 

ハイローからなんとなく入った私はEXILEについて復習し、SECONDにがっつりはまっていた。同時に、幕張ファイナルを迎えるにあたって、この頃は「EXILEのことはあまり知らないがSECONDの熱狂的ファン」という人も増えていたように思う。

私はどっちつかずだった。EXILEのことはまだぼんやりだし(これは生でパフォーマンスを見ていない今現在もそうだ)、SECONDのことも大好きだが、SECONDがEXILEに吸収されてSECONDの活動が見られなくなる、と悲観するほどの熱狂的ファンでもない。

ただ、確かにこの頃から幕張ファイナルにはEXILEがゲストで最後に来るんじゃないか?SECONDのファイナルがEXILEに食われてしまうんじゃないか?という、かなり熱のこもった意見を見かけた。主にツイッターで。それを眺めていると何となく私も悲しくなり、「よーしEXILEの圧に負けないぞ」という気持ちになっていた。SECONDの感動だけを持って帰るぞ!と。かなり意味不明だ。

 

そしてファイナル当日、果たしてEXILEはステージに現れた。

私は完全に負けた。

スクリーンに次々映し出されるEXILEのメンバー。その中にはもちろん、ついさっきまでステージで見ていたSECONDの皆さんもいる。

パフォーマーが映り、最後にタカヒロさんとアツシさんが映った時点でもう駄目だった。膝の力が抜けた。幕張メッセは揺れている。両隣の人は号泣していた。

一曲目はライジングサンだったと思う。奇しくもSECONDが直前に、アンコール前に最後に歌ったのはラストグッバイだった。黄昏と共に別れた人たちの歌だ。

日が沈み、また太陽が昇る。SECONDのライブ構成が、この、EXILE復活の演出のために練られたものだと後で思い至って眩暈がするようだった。

ステージの上は黄金に輝いていたと思う。それがライトのせいなのか、私の目がチカチカしていたからなのかは分からないが。王者の帰還だなと私は思った。EXILEの三年間の活動休止のあいだのSECONDの活動は、三年後のEXILEの活動再開のためのエピソードだった。もちろん、SECONDの活動あってのEXILEの感動的な復活だ。SECONDの活躍なくしては、私も、ここまでEXILE復活に心を揺さぶられなかった。

あまりにも長い道のりの果てを見た、と思った。

 

SECONDのファイナルにEXILEが現れるなんて!という気持ちの方ももちろんいるだろう。幕張ファイナル当日、なかば悔しい気持ちでEXILEを見ていた人の気持ちも分かる。いわば『ロードオブザリング 王の帰還』をいきなり見せられた人々である。幕張ファイナルにはとある私の友人も来ていた。彼女は友達がSECOND好きで何となくついてきた、なんとなくSECONDのボーカルである将吉さんが好きな人である。彼女にはよく分からない演出だっただろうな、と思う。いきなり王の帰還を見せられても訳が分からない。

『旅の仲間』から物語を追えなかった、または、追っても肌に合わなかったということはもちろんあると思う。私はたまたま、幼少期にEXILEに触れていた。ハイローから再び彼らの世界に触れ、多少なりともLDHの歩みとEXILEの挑戦とパフォーマンスを見ていた。

せっかくのSECONDのファイナルなのに、EXILEが場を食うなんて、という思いと同時に、彼らの道のりの果てしなさを垣間見ていた。

SECONDのメンバー六人の個人活動、六人の道、ROUTE6.6の終着点にEXILEが待っていた。

彼らの努力を他のEXILEメンバーは見ていたし、彼らが努力したからこそ、今の15人のEXILEがある。幕張ファイナルの演出で、その過程を直接たたき込まれた気がした。今のEXILEパフォーマーの核となるのは、年齢的にもSECONDのパフォーマーである。

 

 

どこまでがヒロさんの計算のうちだろうか、と私は考えている。

説明するまでもないと思うが、ヒロさんはEXILEのオリジナルメンバーでありリーダーであり、勇退されたものの現在もLDHの偉い人だ(どのポジションなのだろう)。EXILEの活動休止と同時期に立ち上げられたハイロープロジェクトもproject byHIROである。

 

私がそうなのだが、どうやら、ハイローからLDHにはまり、EXILEおよびEXILE THE SECONDにはまった人たちのうち何人かは来月のEXILEのツアーに行く。もともとEXILEは興味なかったのにーという人も結構いる。ハイローがそういう層の人たちの入口になり、そこから三代目のファンになる人、SECONDのファンになる人、もしくはジェネレーションズやランページや劇団EXILEのファンになる人がいた。

繰り返しになるが、どこまでがヒロさんの、LDHの計算のうちなのだろう?

シリーズ最終章前ぎりぎりのタイミングでハイローにハマり、毎日のように流れてくる新情報。数カ月にわたるSECONDのツアー。定期的な新曲リリース。このタイミングの良さ、計算され尽くしたコンテンツのローンチ、良く聞いてみればこちらを飽きさせないバラエティ豊かな楽曲。ダバダバ流しそうめんのように流れてくる毎日の新情報に、怖いよー私はどこに連れて行かれるんだよーと二十代半ばの大人が半泣きだった。

 

ハイローもひとまずシリーズがひと段落し、SECONDの六人の旅もひとまずの終着を得た。

ハイローにハマり、EXILEの復活を目の当たりにしたのは私の意思であり私の勝手だ。

だが、乱暴で傲慢な言い方だが、どう考えてもこれはヒロさんの用意した無数のレールの上なんじゃないかと思っている。すべてEXILEの復活のため。あまりに長い物語だ。

繰り返しになるが、他グループの活動がすべてEXILEのためのものである、という誤解は招きたくない。ただ、彼らはどうしても物語を作るのが上手い。私が目視できる範囲でも約三年、なんならEXILEが結成されてから二十年近くに渡って、彼らはEXILEのための物語を紡いできたのではないか。余談になるが、そもそもボーカルバトルオーディションが、生身の人間を使った壮大な夢物語のひとつである。

 

先日発売されたEXILE三年ぶりとなるアルバム『STAR OF WISH』の特典に、三年間のEXILEメンバーを追ったドキュメンタリーがある。しめて四時間。物凄い熱量だ。

ネタバレになるが、そのドキュメンタリーの中で、EXILEのメンバーであり三代目のリーダーである直己さんの言葉が印象に残った。

「十五人でやる意味があるのか?」というものだ。

この言葉はドキュメンタリーの後半で繰り返し繰り返し出て来る。あからさまに強調している。

きっとEXILEの復活を目の当たりにした我々は「十五人でやる意味はここにあった!」と叫んでいるのだろう。それを見越して、このドキュメンタリーを編集した人はこの直己さんの台詞を繰り返し使っているのだろう。

 

私はいま茫然としている

SECONDの幕張ファイナルで、私は長い道のりの果てを見たと言ったが、まだ彼らもそして私たちも、何らかの長い旅路の中にいるらしい。EXILEは放浪者という意味だ。

私は、我々ファンは、そして現状15人のプレイヤーで固められたEXILEは、今後どこへ向かうのか。この疑問と展望をブログの始まりとしたい。

 

 

まあそんな大層な話ではなく、LDH絡みの、EXILEや三代目やハイローの感想についてのブログになると思います。